広瀬新王位誕生

深浦王位に広瀬六段が挑戦した今回のシリーズ。

注目は何と言っても広瀬六段の戦型だった。
広瀬六段は、「とっておきの相穴熊」という本も出しており、相穴熊だけなんじゃないだろうかと言われてもいた。


しかし、挑戦権獲得まで相穴熊だけで勝ちあがってきたわけではない。
他にもゴキゲン中飛車や、相手が振り飛車党のときには居飛車を持ったりしていた。決して振り飛車穴熊のみという棋士ではない。



だが今回はまさに振り飛車穴熊シリーズ。

第1局は、相穴熊から広瀬六段が攻めきって勝ち。
第2局は、広瀬六段の振り穴に深浦王位が趣向の攻めで勝ち。
第3局は、深浦王位が角交換振り飛車穴熊、広瀬六段が銀冠で対抗して勝ち。
第4局は、前哨戦となった大和証券杯と同一局面から深浦王位が手を変えてあっという間に攻めきった。
第5局は、相穴熊調から後手ミレニアム風。後手良しに見えたが千日手指し直し。
第5局指し直しは、相穴熊かと思いきや、早い戦いに備えて互いにもぐらない囲い。広瀬勝ち。
第6局は、再び相穴熊で第4局と似たような形。手を変える深浦王位だが、結局金の打ちつけ合いで千日手
第6局指し直しは、広瀬六段の振り穴に深浦王位が銀冠。広瀬六段の絶妙な捌きから先手楽勝かと思ったが、王位の粘りの指し回しで何度逆転したことか。結局広瀬六段の勝利。

広瀬六段が4勝2敗2千日手でタイトル初挑戦・初奪取を達成した。


細かい棋譜やらは将棋連盟のHPにリンクがあるのでそこから見てほしい。


深浦王位も3年前、当時の羽生王位からタイトル初奪取、そして防衛、昨年は3連敗4連勝で奇跡の防衛も果たしていた。
押しも押されぬトップ棋士である。


そんな棋士に勝った広瀬六段がまるで、竜王を奪取した時の渡辺竜王に見えてきた。当時の渡辺五段は、先手なら矢倉、後手なら横歩取り8五飛しか指さなかった。ほとんどそれだけで勝ちあがりタイトルまで奪取してしまったのだ。

しかし翌年の防衛戦では、どんな戦型も指しこなし見事に防衛、現在まで6連覇をしている。



広瀬新王位も、渡辺竜王に続いて様々な戦型を指しこなし、なおかつ防衛するようなそんな棋士になってほしい。
そして、この二人に続いて、山崎・松尾・阿久津・橋本・戸辺あたりもタイトル戦にバンバン出てほしい。