どうして羽生さんだけが、そんなに強いんですか?

タイトルがまず気になるところ。
「どうして羽生さんだけが、そんなに強いんですか?」

このタイトルについては、著者の梅田望夫自身が触れているのでそちらを見てもらいたい。


内容は、羽生自身のタイトル戦で指した将棋を元に、その将棋について述べ、次にその時の対局者(もしくは対局者に近しい人)にインタビューし、羽生善治という人物について考えていくという構成。

それが5局(5人)分で5章×2で10章みたいな感じ。


各章の前半部分の対局に関してはやはり将棋の分かる人でないとあまり分からないと思う。ある程度の量の棋譜(手順)が一度に進められるので、全く分からないとなんだこりゃーってなるだろう。

後半部分は将棋に関する話はほとんどなし!新手が出てそれがどうこう、程度の話はあるけれど、将棋の知識はなくても読み進められる。



前半部分も後半部分も、タイトル通りに、羽生善治という人間がどのような人間なのかわかるような感じになっている。

まぁどういう人間なのかは読んでのお楽しみなわけだけど。


一冊を通して、非常に読みやすいと思った。前半部分は将棋を考えながらその時の羽生さんの思っているであろうことを上手くまとめてくれているし、後半部分へのうまく繋がるような構成になっている。
後半部分に関しては、羽生さんの人間像について、納得するところや共感するところ、その逆と。さらには他の棋士たちの思うところ、いろいろなぞらえながら読めて、将棋の奥深さもさることながら、棋士の性質や生き方みたいなものが見れて興味深かった。


本書は、さすがに将棋について何も知らない!って人にはおすすめできないかも(将棋を知るいい機会だと思って読んでもらえると嬉しいけれど)。
羽生善治っていう名前は知ってるよとか、とりあえず将棋は指せるよってくらいの人からだったら面白く読めるんじゃないかな、と思う。



「どうして羽生さんだけが、そんなに強いんですか?」と問われたら、色々な答えが思い浮かぶけれど、
「誰よりも、好奇心が強いから」と答えると思う。一番はそこかな、と。